介護保険

介護保険のサービスの利用できる人は、第1号被保険者と第2号被保険者です。

第1号被保険者とは、65歳以上の高齢者が対象となります。そして、第1号被保険者が介護保険のサービスを受けることが可能です。

〜略〜

介護保険制度の利用は、要介護者は自らの意思で、要介護者が主体となって介護サービスを受けることができる制度です。
そして、自分の申請で介護サービスを受けることができ、また、要介護者が自ら介護サービス事業者と契約を結ぶことになります。

介護保険制度は、サービス利用者本人や家族が主体となって利用することになります。

第一被保険者の介護保険料は、市町村の独断によって決められています。介護サービスの内容にもまた市町村独自の介護サービスがあり、「横だしサービス」「上乗せサービス」と呼ばれます。

そのため市町村によって、介護保険制度の運営方法の詳細は異なりますので、介護保険制度を上手に利用するためには、市町村が発信する情報を頻繁にチェックすることをお勧めします。
なお、市町村から配付される広報誌や市町村役場のホームページには、たいてい介護保険情報のが掲載されているはずです。

要介護認定による介護区分の判定で、高齢者が介護保険制度でどの程度の介護サービスを受けることができるかが決まってしまいますので、要介護認定で正しい介護判定をしてもらうことが大切です
要介護認定の認定調査を受けるときには、高齢者のありのままの状態を認定調査の担当者にみてもらい、正しい判定を下してもらうとよいでしょう。
できましたら、認定調査の調査票を事前に入手して、調査票に目を通しておくことをお勧めします。

要介護認定には、認定調査の結果はもっとも大切な情報ですので、認定調査を受ける際には、 要介護者本人の家族か要介護者本人をよく知った人が立ち会うことをお勧めします。
介護の必要性を正確に調査員に把握してもらうことが重要なのです。

認定調査の時に見栄や羞恥心から、その高齢者がいつもより元気に振舞ってしまったりしては、 正しい判断の妨げになり、実際の介護度のレベルよりも軽く認定されてしまう可能性があります。

介護認定調査では介護の日常生活における気付いた点は、調査員にどんどん伝えるとよいでしょう。
要介護認定調査の調査票には特記事項を記入する欄がありますから、その欄に要介護の高齢者の日常の様子や行動などの具体的な記入があれば、介護認定審査会で検討してもらえます。

日頃気付いたことや日常生活で困っていることなどがあれば、調査員から質問されることでなくても特記事項に書いてもらいうとよいでしょう。

要介護度のレベルを決定する際に、調査票の特記事項は、重要なポイントになるということも頭にいれておきましょう。

介護保険を使うには、要介護認定の申請をして、要介護度、または要支援の認定を受けなければ なりません。
要介護認定の申請は、本人や家族が役所へ行って要介護認定申請書を書き、介護保険の保険証を添えて、介護保険の担当窓口に提出します。

要介護認定の結果は、原則として申請のあった日から30日以内に本人に通知され、初めての認定の効力は、申請時にさかのぼって生じます。
申請をしてから認定結果が出るまでの間は、仮の保険証を使って、介護サービスを受けることができます。

要介護認定の申請をしたら、訪問調査を受け、主治医の意見書をもらわなければなりません。
訪問調査は、要介護認定の申請をした後に、役所の職員か、または役所から訪問調査を依頼されたケアマネジャーが、調査員として家にやってきて行います。

調査員は、認定を受ける本人について、決まった質問をしたり、状態を判断したりします。この結果をコンピュータにかけ、要介護認定の一次判定が行われます。

主治医の意見書は、普段からのかかりつけのお医者さんに書いてもらいます。これは、本人が直接、意思に頼んで書いてもらわなくても、要介護認定の申請書にかかりつけ医を書いておけば、役所の 方から依頼がいくようになっています。

ただし、最後に診てもらってから長い時間が経っているような場合は、ちゃんと診察に行ったうえで書いてもらいましょう。
意見書は認定結果に大きく影響します。

要介護認定の2次判定は、主治医の意見書と、訪問調査のときに調査員が特記事項を記入していれば それも踏まえて、介護認定審査会で行われます。
その後、2次判定の結果を受けた市町村が最終的に認定を行い、申請をした被保険者に結果を通知します。
なお、訪問調査、医師の意見書を含め、要介護認定に本人の費用負担はありません。

介護認定の結果、その人の介護の必要度が決定されて、市町村から本人に通知されます。 通知は介護保険要介護・要支援等結果通知書によって行われます。
通知書には、認定結果や理由、要介護認定の期間などが記されてます。

また、要支援1〜2か、要介護1〜5に認定された場合は、通知書と同時に、要介護認定の申請の ときに提出した介護保険の保険証にも、同じく認定結果や要介護認定の期間、そして、その人の 要介護度に応じた支給限度額などが、記入されて戻ってきます。
こうして、利用できるサービス量も通知されるわけです。利用者は、この保険証をサービス事業者に提示して、サービスを利用することになります。

なお、要介護認定は、全国共通の基準によって公正に行われます。ただし、コンピュータによる 1次判定に使われた訪問調査や医師の意見書など、認定のもとになった情報が、実情と違った内容に なっていると、要介護認定の結果も予想と違ってくる場合があります。

要介護認定をやり直してもらう必要があると思ったときは、認定結果の通知を受け取った日から60日以内に、都道府県にある介護保険審査会に不服申し立てることができます。
これを審査請求といいます。

通知された認定結果は、その後ずっと有効というわけではありません。認定には有効期間があり、 通常は6ヶ月間有効となっています。
はじめての要介護認定の申請を月の途中でしたときは、申請から6ヶ月経過した日の末日までが有効期間となります。
ですから、最初だけは6ヶ月より何日分か、有効期間が長くなります。

有効期間が6ヶ月ということは、要介護状態が変わらずに続いている場合にも、6ヶ月おきに要介護認定の更新をしなければならないということです。
要介護認定の更新の手続きは、有効期間が満了する日の60日前から満了の日までの間に行います。手順は、最初の要介護認定のときと同じで、申請書に介護保険の保険証を添えて、市町村の窓口に提出します。
ただし、更新認定の場合は初回と違って、認定の効力は行進の申請日にまでさかのぼりません。

もし、有効期間の満了までに更新認定が済んでいないと、期間満了でいったん効力が途切れてしまい、その間は介護保険が使えなくなりますので注意してください。
寝たきりになったり、認知症が進んだりして、利用者の要介護状態が増したときには、次の更新を 待たずに、要介護認定の変更を申請することができます。
この場合の手続きも、初回の申請手続きと同じです。

なお、反対に要介護状態が軽くなったときは、自ら進んで変更の認定をしてもらう必要はありません。ただし、被保険者が申請しなくても、市町村から変更の認定を行うことがあります。
また、例外的に、有効期間を3〜5ヶ月に短縮されたり、7〜12ヶ月に延長されたりすることもあります。(ただし、有効期間の延長は、更新認定の場合に限られます)



補足
保険を使ってサービスを受けられる限度

どのサービスをどれくらいずつ受けようかと考えるときに、ひとつ気を付けなければならないことがあります。
それは、保険を使ってサービスを受けられる限度が決まっていることです。要介護認定の結果、その人の要介護度が決まると、それと同時に、その人が利用できる介護サービスの支給限度額が決まり、通知されます。

介護保険では、「在宅サービス○○○円までなら1割負担で受けていいですよ」という限度が、要介護度別に、決められているのです。
とはいっても、利用者はこの支給限度額ないでなければサービスを受けられないというわけではありません。

ただし、支給限度額を超えてしまうと、その超えた分だけは利用者が全額負担しなければならなくなります。
介護保険では、どれだけのサービスを受けるかは利用者の自由なのですが、無制限で保険がきくわけではないのです。

高齢者の方は特に日常の動作が自分の力では困難な状態になると、精神的な張りを失い、弱気になりがちです。そのため、できるだけ本人の能力を生かした介護をこころがけましょう。
「自分でする」という目標を持つことは生活への意欲を高め、たとえ部分的であったとしても、その目標の達成は自信と満足感をもたらします。

また、介護が必要となったために、趣味などを我慢したり、あきらめたりする方も少なくありません。生活の不自由さに埋没しているその人らしさを引き出す支援を介護者は、心がけましょう。
暮らしの中に楽しみを持つことは、生活への意欲につながります。

要支援者と要介護者の違い

要支援の認定を受けた要支援者と、要介護の認定を受けた要介護者とでは、利用できるサービスが 少しだけ違います。

それは、要支援者は、施設に入所して介護を受ける施設サービスを受けられないという違いです。
このような違いがあるのは、つまり要支援者は、施設に入所するほど症状が重くない人だからです。なお、要支援者でも、施設に短期間だけ入所するショートステイは利用できます。